東濃シンクタンクThinkTank

岐阜県東濃地方の明日を考える東濃シンクタンク | 多治見市・土岐市・瑞浪市・恵那市・中津川市の政治・経済

【多治見市長選】多治見市役所本庁舎移転に反対する!!

多治見市長選が告示され、激しい選挙活動が繰り広げられています。

多治見市長選で大きな争点となっているのが、多治見市役所本庁舎移転の是非です。

多治見市役所本庁舎移転の是非

tono-thinktank.hatenablog.com

市長選の候補者の1人、山本さんは多治見市政本庁舎移転に反対の立場であり、もうひとりの候補者、高木さんは現市長の後継として庁舎移転に賛成の立場とされています。

山本さんは、新庁舎の建設は「白紙」に、と訴えています。
その根拠として、①建設費の高騰、②国の財政的援助が見込めない、③市役所のデジタル化の進展、④現本庁舎の耐震性能は基準を満たしている、⑤現本庁舎はまだ使える、⑥災害時、仮に現本庁舎が使えなくなったら駅北庁舎で対応できる、⑦市民合意が得られているか、⑧建設財源を重要政策に活用する、⑨4月選挙後の新体制で考えるべき、点を挙げています。

上述の中で、①③⑦⑨は判断しづらいので、残りの②④⑤⑥⑧につき考えてみたいと思います。

②国の財政的援助が見込めないこと

「市町村役場機能緊急保全事業」

そもそも「市町村役場機能緊急保全事業」とは、対象を昭和56年の新耐震基準導入前に建設され、耐震化が未実施の市町村の本庁舎の建替え事業とし、国が財政支援を行う事業で、平成 29 年度から令和2年度の4年間を事業期間として実施されました。

市町村役場機能緊急保全事業については既に事業期間を終えており、事業復活や同内容の制度創設の予定はありません。

したがって、多治見市新庁舎の建設に国の財政的援助が見込めないことが明らかです。

 

④現本庁舎の耐震性能は基準を満たしていること、⑤現本庁舎はまだ使えること

多治見市が庁舎にはls値0.9以上必要とし、山本さんがls値0.6以上あれば良い、とする「ls値」とは何でしょうか?

Is値とは、建物の地震に対する強さ(耐震性能)を表す指標で、数値が大きいほど耐震性が高くなります。一般的にはIs値が0.6の建物は、昭和56年からの新耐震基準と同等の耐力を有するとされ、震度6強~7程度の規模の大地震発生時に安全であるとされています。

一般的に、ls値が0.6以上であれば、倒壊または崩壊する危険性が低いとされています。

そのため、現本庁舎のls値は0.63であることから、概ね問題なさそうです。

したがって、現本庁舎の耐震性能は基準を満たしており、現本庁舎はまだ使える、ということになります。

 

⑥災害時、仮に現本庁舎が使えなくなったら駅北庁舎で対応できること

この点については、前回も述べたように、防災の観点からは分散している方が望ましいと考えます。
仮に、土岐川が氾濫するなどした場合、川南から駅北へ向かうのは至難の業です。
川北、川南のそれぞれに防災拠点がある方が、拠点として機能しやすいと思います。

また不在者投票で駅北庁舎へ行っただけでも地下駐車場は渋滞しロータリーまで列ができていました。
災害時にはもっと多くの人が集まることが予想されます。
災害時に、庁舎に何人収容し、何人の人が訪れるか、シュミレーションしているのでしょうか?
しっかりしたデータを出してほしいと思います。

 

⑧建設財源を重要政策に活用する

子育て対策をはじめ、医療福祉、経済振興などどれも財源が必要です。
コロナで疲弊してしまった地域経済にカンフル剤も必要でしょう。

したがって、これまで建設のために積み立てていた財源や今後建設に要する財源も、他の重要政策に活用することが望まれています。

 

以上より、山本さんが主張する根拠の②④⑤⑥⑧は正しい、ということになります。

tono-thinktank.hatenablog.com

www.furuya-keiji.jp

そもそも新本庁舎の位置に疑問

多治見市は駅北庁舎隣接地と現本庁舎敷地(日ノ出町)との比較検討にあたっては、①利便性、②防災拠点、③経済性の3つの側面から評価し、特に、(ア)公共交通機関の路線が集約しており、(イ)市の全域からアクセスしやすいことを評価しています。

しかしながら、(ア)公共交通機関の路線が集約していることは新たな渋滞を生みます。ただでさえ、国道248号線の音羽、前畑、平和町付近は日頃から渋滞しています。新本庁舎によってさらなる渋滞が予想されます。それについて、多治見市は何らの策をしていません。
一方で、日の出町付近の住民にとっては、市役所行きの路線バスが無くなってしまい、利便性が低くなるおそれもあります。

(イ)現在の市街地の渋滞が緩和されれば、駅北庁舎隣接地と現本庁舎敷地とで、そんなにアクセス状況は変わらないかな、と思います。

そもそも何で駅に直結する庁舎が必要なのでしょうか?

①利便性

名古屋へ通勤・通学する多治見市民も多く居ますが、多治見へ帰る頃には市役所は閉庁しています。
駅へ寄ったついでに市役所へ、という需要もないように感じます。

県外や市外の方が市役所へ来所した場合には、便利が良いと思いますが、それは多治見市民の方を向いているのでしょうか?

③経済性

多治見市の「本庁舎の建て替え」についてのレジュメを拝見すると、建設費用の比較だけで、維持管理費の比較がありません。
また駅北に有する土地等を第三者に賃貸した場合の予想される賃料収入などが開示されていません。

 

したがって、上記の論拠②④⑤⑥⑧に加えて、そもそも新本庁舎の位置に疑義があることからも、多治見市役所本庁舎移転に反対いたします。

tono-thinktank.hatenablog.com