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【岐阜県】行政である岐阜県の「医療危機事態宣言」は、全国医師会の「医療緊急事態宣言」と何が違うの?

古田肇岐阜県知事は12月25日、新型コロナウイルス感染拡大に伴い県内の医療提供体制が逼迫しているとし、県の「医療危機事態宣言」を発表しました。
一方で、日本医師会中川俊男会長は、12月21日、「医療緊急事態宣言」を出し、逼迫する現状への危機感を訴えています。

日本医師会の「医療緊急事態宣言」とは?

コロナウイルス感染者の急増により、全国で必要なすべての医療提供が立ち行かなくなるおそれがあるため、クリスマス・年末年始の国民の行動が鍵になるとして、下記の内容の医療緊急事態宣言をしています。

一.私たちは、国や地方自治体に国民への啓発並びに医療現場の支援
のための適切な施策を要請します。
一.私たちは、国民の生命と健康を守るため、地域の医療及び介護提
供体制を何としても守り抜きます。
一.私たちは、国民の皆様に対し、引き続き徹底した感染防止対策を
お願いします。
日本医師会の「医療緊急事態宣言」より

 これは、医療に携わる者としての覚悟を表明するとともに、行政への要請と国民へのお願いをされています。
行政のコロナ対策が十分に取られていないという現場との温度差からくる、行政に対する要請とも受け取れます。

行政である岐阜県の「医療危機事態宣言」とは?

それでは、日本医師会の「医療緊急事態宣言」から4日遅れた、行政である岐阜県「医療危機事態宣言」とはどういうものでしょうか?

岐阜県は「医療危機事態」を宣言し、酒を伴う飲食や県境を越える移動をできるだけ避けること、それに初詣も正月三が日を避けて分散するなど、年末年始は感染防止対策を徹底するよう呼びかけました。
NHK より

他のマスコミ記事も同内容でした。
大げさな名称がついていますが、つまるところ、岐阜県の「医療危機事態宣言」とは、これまでのお願いと何ら変わりはありません。
できるだけお酒を伴う飲食や県境を超える移動をできるだけ控えるのは、年末年始に限りません。
ここには、県民の生命・身体を守り抜くんだ、という覚悟が全く感じられません。
こんなお願いばかりしか岐阜県はできないのでしょうか?

大村秀章愛知県知事は、年末年始に企業や官公庁で慣例的に行われているあいさつ回りを控えるよう求めています。県市長会や町村会の代表者にも、周知を依頼。加えて「休みの分散と初詣の分散参拝の周知もお願いしたい」と求めています。
中日新聞 より

その上、愛知県知事は、「『厳重警戒』年末年始で第3波を克服するために」県民・事業者の皆様へのお願いするとともに、寺社への初詣における新型コロナウイルス感染防止対策への協力依頼し、愛知県全域を対象とした酒類を提供する飲食店等への営業時間短縮要請等の呼び掛けについて等の知事記者会見動画を配信しています。

行政である岐阜県が今すべきこと

岐阜県では、パブ等の飲食店や学校、福祉施設で頻繁に「クラスター」認定がされています。
(最も、福祉施設は元々体力の弱い高齢者が利用されている施設なので、感染防止策を徹底していても感染してしまうおそれはあります。)
そのため、今すべきはパブ等の飲食店が実際に感染防止対策がしっかりされているか現地へ行って確認し指導等をすること、学校等へは先生や職員に対し感染防止対策をとるよう徹底・周知することが必要ではないでしょうか。

毎日のコロナウイルス感染者数の発表も岐阜県は愛知県・三重県に比べてダントツに遅いです。
複数の感染者が出た場合の感染の出どころについても、詳細な報告があれば、そこを訪れた県民は病院を受診する動機づけになります。
情報の開示の詳細とスピードももう少し改善してほしいですね。

医療従事者の皆さんは、複数人での飲食などせず自身の感染に細心の注意を払い、日夜コロナウイルスと懸命に戦っています。
飲食店への時短補償を何度もするよりも、医療従事者へのさらなる補償・手当を考えていただきたいです。