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【岐阜県知事選】岐阜県知事の5選について考える その1

岐阜県の古田知事が来月に行われる知事選挙に立候補を表明しています。
古田知事は現在4期目で、次の選挙で当選すれば5期目となる予定です。

一般的に4期以上は「多選」にあたります。

岐阜県知事の多選の是非について

多選のメリット

多選の弊害が叫ばれていますが、多選のメリットについても、改めて考えてみたいと思います。

メリットとしては、①長期計画を実行できること。
1期目・2期目で浮かび上がった問題点について、5年・10年のスパンで計画を実行しようと考えれば、同一人物が指揮を執った方がいいでしょう。
また、実績を残していれば、②安定的な政治が予想できるため、予想できない新人の手腕に任せるよりも安心することができます。
他の自治体の首長と深い関係が築けれていれば、③連携もスムースに行うことができ、行政も円滑に動くことが想像できます。

多選のデメリット

 一方で、多選の弊害がよく言われていますが、今一度まとめてみたいと思います。

 メリットとは表裏の関係にあります。

安定的な長期政権の一方で、①新しいことにチャレンジしにくい傾向にあるといえます。
2017年茨城県知事の7選を批判し、菅氏(現総理大臣)は「茨城県の魅力度ランキングが最下位なのは、現職が大事なことを発信できていないからではないか」と言っています。

NHKによれば、2017年同知事選挙では、「知事の多選」について「弊害がある」と答えた人は53%で、結果、知事の7選は阻止されました。

②馴れ合いによる政治

永らくトップに君臨していれば、部下はボスの意図を汲むようにしてくれるでしょう。
本来、チェック機能としての役割もある議会の議員も、批判的な発言を控えることが予想できます。

③談合などの不祥事の発生

公共工事の入札談合や裏金問題も発生しやすい状況にあります。
維新の会の松沢氏は、岐阜県の裏金問題も知事をはじめ県幹部も含めた組織的なもの、とし、知事の不祥事を防ぎ、権力に歯止めをかけるべく「首長の多選禁止条例」を、と発言されています。

早稲田大学名誉教授の北川正恭さんは「過半数が『多選の弊害がある』と答えていて、明らかに『多選はいけない』というのが有権者の意思だった。橋本氏は7選を目指す上での明確な説明責任が果たせていなかった。有権者には『県庁ファースト』と映っていたのではないか。有権者が継続よりも新機軸を求めた結果でしょう」と指摘しました。
NHK政治マガジン より

 北川正恭さん
多選をどう考える?
新しい価値創造が出来なくなり停滞します。知事時代、部長が書類を持ってくると私の意向を汲んで上手に書いてあったんですが、忖度(そんたく)ですよ。このままでは、権力者とお仲間による行政になってしまうと思い2期で辞めました。しかし、業界団体など周囲の人が辞めさせてくれないという現実もありますから権力者には自戒・自制が必要だと思いますね」

片山善博さん
多選に弊害はあるか?
県庁の組織が停滞し、活力を失うことがいちばんの弊害でしょう。私自身、活力が失われていくのを感じました。最初は、職員が耳の痛いことも言ってくれたんですが8年もやると誰もモノを言わなくなるんです。知事が気に入る政策を上げてくる、忖度が生まれてましたから、余力があるうちに辞めようと思いました」
「どの知事も最初は『この政策をやり遂げたい』という思いを持っています。そうした能動的な志を持っていた人でも、政策を実現して志を失うと、知事の座にあり続けたいと変わってしまうことがあると思います
一方で、知事のあるべき姿について聞くと、片山さんは「2期8年で終止符を打つべきです。自分で制御するのは難しいので、地方自治法を改正して法律で制限すべきだと思います」と話しました。

NHK政治マガジン より

 *なお、太字の装飾は、こちらでおこないました。

 ④長期計画を随時チェックする機能が失われること

前知事が計画したプランを、新たに就任した知事はきっと随時チェックするでしょう。
しかしながら、本人は計画したプランを、執行時に随時チェックすることはあまり期待できそうにありません。

岐阜県知事の5選についての是非

これまでの多選のメリット・デメリットを勘案した上で、岐阜県知事の5選について考えてみたいと思います。

確かに、古田知事が5選されれば長期計画も実行しやすくなるかもしれません。

しかしながら、長期計画は岐阜県として策定しているはずなので、知事が交代しても不都合はありません。むしろチェック機能が働きやすくなります。
既に今回の選挙で岐阜県自民党は分裂しており、仮に古田知事が当選したとしても県議会議員の複数とは敵対状態にあるため、安定的な行政はもはや期待できそうにありません。
古田知事や野田氏は「コロナウイルス対策を引き続き進めること」を多選の理由にあげていますが、多くの県民が感じているように、しっかりとした対策ができているようには思われません。
また古田知事は県民に5選の明確な出馬理由を説明できていません。業界団体の推薦を取り付けることに必死なようです。「県民ファースト」には映らず、ただ単に知事に座り続けたいように映っています。

また他の自治体の首長との関係は、当人のコミュニケーション能力によることが大きいといえます。

 

先日、兵庫県知事が公用車をセンチュリーに変更し、議論になっていました。
ここでの議論は、公用車も県民の県税によるもので、高額すぎるという批判です。
中日新聞によれば、古田知事の公用車はトヨタヴェルファイアで1464万円で購入とのこと。
biz-journal.jp 

北川正恭氏や片山善博氏の指摘は、そのまま古田知事に当てはまります。
県庁内の職員との指示やコミュニケーションも上手くいっていない、との噂も耳にします。
連日のコロナ会見も職員に任されることが多く、一方で毎日の日程を拝見すると選挙の推薦には忙しく飛び回っていらして、ただ残念です。

したがって、岐阜県知事は5選すべきでなく、後進に道を譲るべきです。
新しい知事のもと新しい岐阜を創造してほしいです。